とんでもない事をしてしまった。
に手を引かれながら、は酷く混乱した。
17.依存
に連れられたは、校舎の奥の方へと来ていた。
「…っ、どうしよう。わ、私…!」
今にも泣き出しそうな声で言う。
は優しくの頬をなでた。
「大丈夫、ゆっくりで良いから」
ん、とは息を呑む。
「私、ね。の事、大好きなの」
「うん、知ってる」
「、は。弱いから、私が護って、あげるんだって」
「うん、そうだね」
「でもね。護る、人は他に出来た、から。私は、盾になろうって」
「うん、そっか」
の言葉に一つ一つ返事をする、はそれが凄く暖かく聴こえた。
「私、最近変、なの」
ギュッと、の袖を掴む。
「ココに、いるとね。い、石が溜まるの」
「石?」
が聞き返すと、こくんと頷いた。
「を、見るたびに。石が、溜まるの、凄く気持ち悪いの」
あれから何度はいただろう。
出しても出しても石は出ない。
の瞳に、涙がたまる。
「このままじゃ、私。おかしく、なっちゃう。ち、違う、もう変わってる!!」
そんな事ない、と言ったが首を横に振る。
「だって、だって私! あの時!」
袖を掴む力が強まった。
服ごしなのに、の爪が少し食い込んだ。
「が傷付けられてるって知った時! いい気味って思った!!」
悲痛なその叫びは、静かな廊下に響き渡った。
の瞳から、ポロポロと雫がこぼれ落ちる。
「は、今…今まで、私が全てなのに。ここに来てから変わった、私の事、必要としなくなった! それに、やっぱりここでも…」
ひゅっと、息が詰まる。
はそれを言う事で、認める事が怖かった。
今まで気付かない振りをしてきたのに。
「こ、ここでも。みんな、誰も私の事なんて見てくれない。みんな、みんな、の妹としか見てくれない!」
俯いて、泣き声が出ないよう、必死に声をこらした。
「貴方以外、誰も…」
涙は止まる事を知らないように、後から後から流れ出てくる。
落ちたそれは、石畳の廊下に黒い染みをつくってゆく。
「私、自分が怖いの。いつか、さっきみたいに誰かを、違う―――を殺してしまう!!」
大好きで、大切だからこそ、それは憎悪の対象となる。
認めたくない、認めたくなかった。
自分の片割れを憎む、自分。
は涙を枯らすほどに、泣き続けた。
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UP/05.12.18