囲まれていた女子が、だと分かるのに時間はいらなかった。
14.驚愕
「何をしているの!」
今目の前に起こっている事が信じられなくて拳を強く握りしめた。
が声を上げると、周りの女子達は舌打ちをして、バタバタと何処かへと逃げて行く。
はすぐにに駆け寄って膝をつく。
上着は無惨にも破り捨てられ、凍えるような寒さにはカッターシャツだけだった。
赤く腫れた頬に、所々に青あざのある足。
の腕を取り袖をまくると、つい最近つけられたであろう切り傷。
は驚愕して瞳を見開いて、ギリッと奥歯を噛みしめた。
「……いつから?」
は弱々しげに、へらっと笑う。
「え、…いつってな「いつからっっ!?」
の怒涛のごとき声にビクリと身を跳ねる。
俯いてポツリと呟いた。
「ここに来てから…、暫くして…」
「そう…」
自分のコートをに着せ立ち上がる。
は逃げて行った女子らの方向をジッと見つめた。
「は保健室へ行きなさい」
「っ、ちゃん…?」
は怖くなった。
暗い廊下のせいか、の顔がよく見えない。
だめだ、だめだ、だめだと。
ゆっくりと駆けだしたに声を上げた。
「だめっ、ちゃ…!」
途中で咳き込んでしまう。
鳩尾を殴られていたせいで、大きく息が吸い込めない。
だんだん見えなくなるの背を見つめて、うずくまったは涙を流した。
「ちゃん―――…っっ!」
これ以上傷付く貴方を見たくないのに―――。
声は届かない。
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UP/05.12.08