護るのは彼、盾は私、敵はアイツだと決めた。
11.宣言
図書館を出てすぐ、は早足に彼らを―――正確にはアイツを―――探していた。
獅子寮生なのだから、獅子寮棟の方が確率が高いだろうとそこへ向かう。
アイツにハッキリと言っておきたい事があった。
護るのは彼だと。
お前ではないのだと。
なんて運が良いのだろう、は今までに無いくらいに喜んだ。
アイツが一人で、自分の先を歩いていたからだ。
周りに人がいなく、今がチャンスだと駆けだした。
正直、自分はパニックっているのだろう。
今までの自分ならこんな事はしないだろうから。
やけに冷静な考えで声を上げた。
「シリウス・ブラック!」
出る限りの大声で彼の名を呼んだ。
振り向けばいつものように嫌な顔をされた。
「話がある」
「俺はないね」
「私はあるって言ってるの!!」
去ろうとする彼を、力任せに振り向かせる。
早く、早くと焦るばかりか、彼の頬に爪が引っかかった。
痛そうに顔を痛めたが、今はそんな事はどうでも良かった。
きれる呼吸を肩でして、彼をキッと睨み付ける。
「お前達、随分前に私に言ったよな。思い上がるなと」
焦るばかりで口が悪くなる。
いや、彼に丁寧語を使う気など毛頭無いのだが。
シリウスは鼻で笑った。
「それがどうした、本当の事だろう?」
「本当の事? 笑わせないでよ、の事何も知らないくせにっっ!」
既には、自分が何を言っているのか分からなくなっていた。
その反面、やけに冷静に物事を考えている自分もいた。
護るのは彼、私は盾、敵はこいつ。
「勝手に一目惚れして、思い上がって騎士気取り。ハッ、とんだ笑い話ね!」
私は盾。
それはあの子を護れなかった私の罪。
姫は、護る騎士は彼だから、敵のこいつに渡すわけにはいかないんだ。
「騎士は、貴方じゃないわ」
私は盾。
「は貴方なんかに渡さない…っ、絶対に!」
護るのは彼、私は盾、敵は自分と似ているこいつと決めた。
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UP/05.11.27