はじめまして、と言うべきでしょうか。



拝啓、ジェームズ・ポッター様



貴方は私のことなど、露程にも知らないでしょう。
なので、僭越ながら自己紹介をさせて頂きます。

私の名は
貴方と同寮生であり貴方の想い人、リリー・エヴァンズの友人をやらせて頂いてます。
さて、何故このような形を取っているかというと、貴方に言いたいことが有っての次第です。

私、は貴方、ジェームズ・ポッターのことが大好きでした。
コレは恋と言っても差し支えはありません。
貴方のことですから、私が貴方を想っていることよりも、いつもリリーと共にいた私の存在さえ気付いてないでしょうに。
私は貴方のことを見ていたのですよ?
入学して組み分けの時、初めて貴方を見てからずっとです。
もちろん、組み分け後の貴方によるあの、大々的なリリーへの告白も覚えています。
それでも貴方のことが好きなんです。

我が家も、貴方ポッター家と同じ魔法界で名家として数えられる者です。
私が父に頼めば、貴方との婚約も容易かったでしょう。
それをしなかったのは、私が好きなジェームズ・ポッターは、「リリーのことが好き」なジェームズ・ポッターでもあったからです。
だからそんな形で貴方を手に入れ、貴方の想いを殺すのは嫌だったのです。
(まぁ貴方のことですから、好きでもない女と婚約なんてしないでしょうけど)
それに、私もリリーのことが大好きだから。
親友と呼べる大切なリリーを想う貴方と、多少違っていても似た感情を抱けること。
そして自分の想い人の好きな人が、自分の大切な人だったことを嬉しく思っていました。

しかしその反面、失恋してしまえばいいのにと思うこともありました。
嫌な女と思いますか?
それでも私だって恋する者なのです。
少しぐらいは希望が欲しかった。
そして貴方のその狭い視野(本当、貴方はリリーしか見ていませんよね)を、少しだけどもいいので広げ、私の存在を少しでもとらえて欲しいと願っていました。

ですがもう、貴方のことは諦めます。
だって貴方の想いに勝つことは出来ないと知ったから。
この六年間はさすがに長かったですね。
正直に言って疲れてしまいました。
貴方も私と同じように六年間恋しているんですから、どうか貴方はリリーを捕まえて下さいね。
私も私を想ってくれているあの人に、目を向けようと思います。
いつかWデート出来たらいいですね。


追伸。
リリーのこと、もう少し頑張って下さい。
実はリリーも貴方のことを、気に掛けているようなのです。
二人がくっつくのも時間の問題ですね。
でも何だか癪なので、このことは貴方に教えてあげません。



ざまぁみろ!






UP/06.04.26